有安杏果、「サクライブ2022」を終えたばかりの心境、新曲に込めた思い、東京公演の2日目に見せた涙の理由を語る

インタビュー | 2022.04.27 15:00

今年3月から4月にかけて、大阪、名古屋、福岡、東京、仙台と5都市6公演に及んだ全国ツアー「有安杏果 サクライブ ~Acoustic Tour 2022~」を開催した有安杏果。コロナ禍という困難な状況においても、昨年は単身による初の弾き語りツアーに挑み、今年は宮崎裕介(Pf)とのデュオによる新たな表現の幅を獲得した彼女にツアーを終えたばかりの心境や新曲に込めた思い、東京公演の2日目に見せた涙の理由などを聞いた。
(リンクが入ります:東京公演の2日目 ライブレポートはこちら「有安杏果、デュオ編成で回った約1年ぶりのツアー「サクライブ2022」。東京公演の2日目をライブレポ」
──まず、ツアーを終えた感想から聞かせてください。

毎回、ツアーを終えるとそうなんですけど、ちゃんと終えられたという安心感が一番大きいですね。特にコロナ禍になってからは、「ライブをやる」という約束が果たせないこともあって。スタッフさんと話してたんですけど、コロナ禍の前、2019年の「有安杏果 Pop Step Zepp Tour 2019」ぶりに予定通りに全公演を終えることができたので、本当に久しぶりにちゃんとできたなという感じですね。

──昨年の「有安杏果 サクライブ 弾き語りツアー 2021」は去年の4月に始まったものの大阪公演が延期になり、最終的には9月までかかりましたから。

そうですよね。今回もツアーが始まる直前に仙台で地震があって。新幹線が止まってしまったんですけど、なんとか開催できてよかったです。あと、ツアーが終わった後にみんなのコメントを見ていたら、旦那さんがファンクラブに入ってくれていて、初めて奥さんと一緒に来ましたっていう方がいて。奥さんは私のライブは初めてで、そんなに曲も知らなかったみたいなんですけど、「ライブをゆったりと楽しんでました」という感想をくれて。それが嬉しかったんですよね。コロナ禍のライブだからこそ、初めての人にも伝わるライブになったのかなと思うし、アコースティックというスタイルもいいなと思いましたね。

──昨年は弾き語りで、今年はグランドピアノとのデュオになりました。どんなライブにしたいと思っていましたか。

どのライブもそうなんですけど、みなさんが飽きないようにバリエーションをつけたいなというのと、ピアノとギター、そして、歌の良さが皆さんに伝わったらいいなという思いで、アレンジやセットリストを考えていきました。去年よりは一人増えたけれども、とはいえ、ピアノとギターだけで、オルガンやエレキとかもつかわないので、どれだけみんながライブをあっという間に感じてもらえるかっていうことを考えて。例えば、ロックっぽい曲をどう変化させるか。最初のリハーサルの時から、宮崎さんに『今までやったことのないことをできないか』っていう提案いただいて。オクターブ奏法やカッティングを練習したりしましたね。

──ロック曲で言うと、東京公演2日目の「Runaway」からブルースにアレンジされた「feel a heartbeat」が最高潮と言っていい盛り上がりを見せました。「feel a heartbeat」では、<あなた>ではなく、<みんなと感じたくて>という歌い出しに変えてましたよね。あれは全公演共通ですか?

あははは。いや、あの時だけです。初めてですね。

──あの瞬間に、客席の熱気が一段上がった感じがあったんですよ。

それはすごい感じました(笑)。でも、そんなに深い意味があったわけじゃないんですよ。ライブが終わった後も、私が感極まって泣いていたので、宮崎さんに「引退ライブかと思った」って笑いながら冗談を言われて。あれは、ツアーを何本も重ねていく中で、毎回の公演を大切に、新鮮な気持ちでやりたいなと思ってて。だから、毎回、スキャットやフェイクを変えたりしてるんですけど、その1つだったんですよね。みんなの顔を見てて、もうすぐツアーも終わるし、<あなた>を<みんな>に変えてみようと思って歌ったら、私が思った以上の反応をお客さんが返してくれて。それで、びっくりしました。あははは。宮崎さんにも言われたんですけど、自分で蒔いた種だったのに、それ以上に返ってきて、私が受け止めきれなくて、溢れちゃいましたってことなんですけど。

──MCでは、「横アリのこと思い出した」って言ってました。なんの涙でしたか?

なんの涙だったんだろう。いろんなことを思い出したんですよね。お客さんが返してくれた、ライブだからこその感じが嬉しかった、嬉し涙だと思います。初めてライブをやった時から、いろんなライブをやって。ソロ活動を再開して、よし頑張ろうって思ってる時に、コロナとぶつかって、なかなか思うようにライブができなくなって。いろんなことがあった中で、今、ちゃんとライブができていて、お客さんと音で会話できてるっていうのが嬉しくて、涙が出てきたのかなと思いますね。

──その前には「Calling you」のカバーもありました。

洋楽を久しぶりに歌いたいなと思って。最初はスティーヴィー・ワンダーさんの曲をやろうと思っていたんですけど、宮崎さんがこういうテイストの曲はどう? って提案してくださって。私は最初、知らなかったんですよ。宮崎さんに教えてもらって、今年に入ってから出会った曲だったので、ライブで歌うにあたって、ジェヴェッタ・スティールさんのオリジナルやホリー・コールさんのカバーも聴いて。映画「バグダッド・カフェ」も観たんですけど、ほんとに、映画の最初のシーンの情景をそのまま歌ってる曲なんですよね。しかも長い文章ではなく、ポツポツと短い言葉で伝える曲だから、そこは研究もしたし、ダークな世界観をどう表現したらいいかも考えて。最初のサビはオクターブ下で歌ってみようとか、バリエーションをつけて歌いました。

──深くて低いトーンで雰囲気をガラリと変えつつ、同じコード進行で「虹む涙」へと繋いでいくという展開にも驚きました。

実は、元々はギターを弾く予定で、最初のリフを練習してて。その後に「虹む涙」をやろうっていうセットリストは最初から作ってたんですね。おうちでギターを練習してた時に、同じ2カポでいけると思って。キーがBで一緒じゃない? と思って。「Calling you」のリフのまま、「虹む涙」を歌ってみたら、いける! と思って。その話を宮崎さんに伝えて、『いいね。マッシュアップできるね』ってことで作りました。どうやったら両方の世界観を壊さずにセットで届けられるかなって。自分としては、ラスベガスの砂漠を歩いていた女の子が途中から東京のビル街を歩いてる映像につながるというイメージで歌ってました。

──とても自然でしたね。そして、新曲も2曲披露しました。「夢の途中」は「指先の夢」とは……。

全然関係ないんです(笑)。2019年にソロ活動を再開して、春にサクライブをやって、夏にZeppツアーをやって、久しぶりに宗像フェスにも出て。よし、来年も頑張るぞ!っていう気持ちで、コロナ禍に入る前の2020年のライブに向けて作った曲なんです。だから、みんなに聴いてもらった順番は逆なんですけど、「指先の夢」よりも前にできてて。いつも曲から作ることが多いんですけど、「夢の途中」もピアノを弾いてる時に……。

──MCでも言ってましたが、ピアノで作ったというのが意外でした。アコギで作ったフォークソングかと思ってましたから。

そうなんです。元々はピアノを叩きながら、ピアノロックのような感じで作ってて。この勢いや強さを歌詞にも詰め込みたいなと思って、強い女の子の曲にしようと思って、夢をあきらめない強い思いを描きました。ぶっちゃけると、バンドアレンジが先で、レコーディングもしてて。宮崎さんも私もその音源が染み込んでるから、リハーサルの時になかなかしっくりこなかったんですよね。どうやったらピアノとアコギで表現できるかなって模索してて。ツアー初日の大阪でやった時に、ちょっと違うねってなったんですよ。だから、次の名古屋のライブの当日リハーサルの時に二人でもう1回、会議をして。いっそのこと、間引いてみようかってことになって。大阪と名古屋で実はアレンジが違うんですね。ピアノとアコギの二人の「夢の途中」は、回数を重ねるごとに出来上がっていった感じですね。

  • 永堀アツオ

    取材・文

    永堀アツオ

  • 撮影

    ハービー・山口

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